第52回 糖質の多い物を認識する

糖質の多い食材や食品を認識してもらう

患者さんに糖質制限指導をするにあたって、一番大事なことは、高糖質食材や高糖質食品を認識していただくことです。

私は糖尿病の患者さんに糖尿病学会が主導する低カロリー・高糖質食事指導に用いる食品交換表を用います。

ただし、使わせてもらうのは表1と表2に載ってある高糖質食材や高糖質食品の写真です。

患者さんにこの写真を見せることで、しっかり高糖質食材や高糖質食品をインプットしてもらいます。

では、食品交換表に沿って進めていきます。

表1から始めます。

私たちが主食としているものは、いずれも高糖質食品(高糖質食材)です。

すなわち、米、パン、麺類です。

以下、食品(材)別糖質量は、江部康二先生の著書「食品別糖質量ハンドブック」を参照させていただきました。

 

白米ご飯は一膳で55.2g、玄米ご飯は一膳で51.3g、握り寿司は一貫7.3gです。

長く糖尿病の食事療法で「玄米魚菜食」が勧められてきましたが、玄米ご飯は、白米ご飯に比べて、さほど糖質が少ないわけではありません。

握り寿司は一貫7.3gですが、シャリは白米に酢と砂糖が加えられていて、その分、糖質が多くなります。また、ネタによっても糖質は若干変わります。

卵焼きは9.8g、ウニは8.5g、カッパ巻は6巻で21.2gです。

回転寿司で10皿も平らげれば、一皿には二貫ずつ乗ってますから、合計20貫。ネタの分を加えて一貫の糖質量を8gとすれば20貫で160gです。

なんと、1個4gの角砂糖、40個食べたことになります!恐ろしいと思いませんか?

おにぎりは一個で37gです。通常は2個食べる方が多いと思います。2個で74gですから、白米ご飯、茶碗1.3膳分に相当します。

パン

パンは、なかなか曲者で、第34回のブログでも紹介しましたが、特に食パンは食後60分に血糖値のピークを迎え、その後長時間高血糖が持続します。GI (Glycemic Index)は91です。

さらに、上手をいくのがフランスパンです。GI値がなんと93です。

食パン6枚切り1枚(60g)で27g、フランスパン60gで33g、ロールパン30gで14g、クロワッサン45gで19gです。

高GI食品の多いパンの中にあって、クロワッサンはバターでコーテイングされている分GI値は68と低値です。

これをヒントにパンを食べる時はバターを塗って食べてください。血糖上昇を防ぐのに、さらに効果があるのがオリーブオイルです。

いちごジャムやオレンジジャムは是非避けてください。

麺類

麺類には、ラーメン、そば、うどん、パスタとありますが、それぞれ1人前の糖質量を挙げておきます。

ラーメン

醤油ラーメン 60.1g

塩ラーメン 59.1g

みそラーメン 65.1g

とんこつラーメン 63.9g

ちゃんぽん 60.5g

みそラーメンととんこつラーメンの糖質量が他のラーメンより4〜5g多いようです。

そば

かけそば 47.3g

山菜そば 47.6g

冷やしそば 44.6g

パスタ

 

ミートスパゲティ 86.2g

ナポリタン 86.8g

和風きのこパスタ 78.8g

カルボナーラ 77.2g

ペペロンチーノ 76.3g

パスタの糖質量は麺の絶対量とソースや具の影響を受けます。また、ペペロンチーノやボンゴレビアンコなどのオリーブオイルたっぷりパスタは血糖値の上昇を抑えてくれます。

穀類、種実類

次に、穀類や種実類にいきましょう。

図の通り、じゃがいも、さつまいも、さといも、かぼちゃ、とうもろこし、甘ぐりなどは、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富ですが、一方で摂り過ぎは高血糖をもたらします。

じゃがいも110gで糖質16.1g

カレーライスやシチュー、味噌汁や煮物、フライドポテトやポテトチップスと用途は広く、摂り過ぎに注意が必要です。

さつまいも70gで18.9g

焼きたてのさつまいもは、ホクホクして、甘くて美味しいですよね。また、大学芋にも使われます。

さといも75gで6.9g

味噌汁や煮物に使われます。

かぼちゃ60gで10.3g

天ぷらや煮物に使われることが多いでしょうか。

とうもろこし(ホール缶詰)25gで3.6g

とうもろこしは異性化糖の原料になります。まさに、甘みの元です。

南米では離乳食に使われているとのことですが、乳児が消化しきれず、ひどい下痢を起こし亡くなることがあるようです。

甘グリ15gで3.4g

くりご飯はダブル糖質です。

大豆以外の豆類やこむぎ粉、かたくり粉

食品交換表の表1には他に大豆以外の豆類やこむぎ粉、かたくり粉やコーンフレークが載っています。

(以下、小豆、オートミール、コーンフレーク、こむぎ粉、かたくり粉、パン粉です。)

あずき20gで2.5g

オートミール10gで6g

コーンフレーク10gで8g

コーンフレークの質量の8割が糖質です。

コーンフレークにドライフルーツが入ったものが市販されており、これに牛乳をかけて食べるとかなりの高糖質になります。朝食後血糖値が、いつも300mg/dlを超える患者さんがいて、食事の内容を聞き出したところ、まさにこの食事内容でした。

こむぎ粉

パンや麺類の原料です。卵と混ぜ合わせ、天ぷらを揚げるときに、衣としても使われます。

カレールーの中には、色々なスパイスや肉やじゃがいも、人参、玉ねぎといった野菜の他にこむぎ粉が含まれます。

ハンバーグのつなぎに使われます。

かたくり粉

でんぷんです。中華料理などのとろみとして使われます。

ハンバーグのつなぎに使われます。

パン粉

とんかつ、コロッケなどのフライ類の衣、ハンバーグやミートボールのつなぎに使われます。

果物

次に表2にいきます。

表2はご覧の通り果物です。

食べて甘いですから、明らかに糖質は多いです。

糖質でも果糖が多く含まれることから、摂り過ぎは脂肪肝やAGEsの蓄積による臓器障害が懸念されます。

しかし、一方で、ビタミン、ミネラル、食物繊維、そして、抗酸化作用があるフィトケミカルが豊富です。

ですから、果物はバランスよく摂取することが大事です。

以下に糖質量を示します。

りんご30gで4.2g

ブドウ10gで7.7g

ブルーベリーは45gで4.3gと糖質量は少なく、ヨーグルトに入れて食べてください。ブルーベリーは抗酸化作用のあるポリフェノールを多く含みます。

なし40gで4.2g

バナナ220gで28.2g

かき260gで33.8g

みかん100gで8.8g

もも280gで21.2g

いちご50gで3.5g

スイカ150gで8.2g

 

以上、糖質制限のための栄養指導について、特に、高糖質食材や高糖質食品を認識していただくために、糖尿病学会の食品交換表1、2に載っている写真を基にお話ししました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (2件)

  • 最近、家内のHgA1cが7.5になったことから糖尿病のことを調べ始めました ブログを拝読して低糖質食が必要なことを理解しましたが、低糖質を貫いていれば、摂取カロリー制限(体重あたり・カロリーというもの)は特に必要ないのでしょうか メールをいただけたら幸いです

    • 岡沢様
      メールありがとうございます。糖質制限食は、糖質は減らしていただきますが、その分、タンパク質、脂質を増やしていただきます。もちろん、ビタミン、ミネラル、食物繊維もしっかり摂っていただきます。
      糖質制限だけ行う間違ったダイエットは、どんどん痩せてきて、エネルギー不足になり長続きしません。ライオンは肉しか食べませんが、人と同じくらいの血糖値が維持されています。
      これは、糖質を食物から摂らなくても(炭水化物を摂らなくても)、体内で糖新生(アミノ酸やグリセロールからブドウ糖を作る)というシステムで血糖値が維持されているからです。人も同じです。
      糖質を減らして、タンパク質や脂質を食べたいだけ食べても(タンパク質や脂質でカロリーを多く摂ろうと思っても)、普通は食欲にブレーキが働きますので大丈夫です。また、タンパク質や脂質でカロリーを多く摂ったとしても基本的に太りません。

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