第55回 1日糖質摂取量を決めて実践する

今回は、糖質制限食の実践編です。

糖質制限の実践

夕食からご飯を抜くことで、生活習慣病のコントロールが達成できれば、あとはそれを継続していただければ良いと思います。

ところが、うまくいかなければ、第51回のブログでも述べたように、いわゆる「おかず」に当たるものに、高糖質なものが含まれていないかチェックする必要があります。

また、素材だけではなく、砂糖や小麦粉での味付けを極力減らし、和食の甘辛いたれ、中華の甘酢あん、とろみのあるものに注意する必要があります。

ソースやサラダドレッシングにも注意します。ドミグラスソースやケチャップはなるべく避けます。マヨネーズは問題ありません。大さじ2杯(30g)でも糖質は1g以下です。

食事の順番も大事で、汁物→野菜→タンパク質→糖質の順番に摂取すれば血糖値の上昇を抑えられます。

食後、ウオーキングを20〜30分程度するだけでも血糖値を下げられます。

点検の末、夕食は完全に糖質オフなのにうまくいかない。この場合はどうしましょうか。

私は、糖質カットを朝食にも適応します。

朝食を食べない方は?

当然、昼食が標的になります。

ある日の私の朝食 糖質量の計算

以前の朝食は、以下のようなものでした。食パン8枚切り1枚とバター。牛乳100mlまたはブルーベリー入りのプレーンヨーグルト100ml。オニオンスープ。ハムエッグにナチュラルチーズ、野菜サラダ。

ハムエッグとチーズ、バター、野菜サラダとサラダにかけるマヨネーズは糖質を無視し糖質総量は35gとなります。

今は、食パンを低糖質ロールふすまパン50g(糖質2.3g)、牛乳を豆乳(糖質2g)に変えており、糖質総量は14.3gです。

 

 

弁当

昼は、奥様の弁当持参の方は、今までの私のブログを参考にしていただければ、糖質量の把握は簡単だと思います。

下は、ある日の私の弁当です。

1例目の糖質量を計算してみましょう。

ご飯は半膳で27.5g。鮭の塩焼き、ハム、トマト、豆苗は糖質無視。卵焼きも砂糖がさほど入ってなければ糖質無視。ポテトサラダは70gで糖質13gとのことですから、多く見積もって5g。

合計32.5gとなります。

2例目の糖質量を計算してみましょう。

ご飯は1/6膳で9.2g。鮭の塩焼き、トマト、ソーセージ、唐揚げ、野菜は糖質無視。たらこ入り卵焼きも砂糖がさほど入ってなければ糖質無視。

糖質はご飯だけで、合計9.2gとなります。

 

昼食時、スタッフにお茶を出してもらい、食後ブラックコーヒーを飲みます。

私はこれで十分ですが、足りない人は、魚やハムやソーセージ、卵焼きや唐揚げや野菜の量を増やして頂き、さらに焼き豆腐やチーズや枝豆等を加えていただくのも良いでしょう。

第29回のブログで日本人の炭水化物1日平均摂取量が250gだと述べました。

また、アメリカ糖尿病学会(ADA)での低糖質食の定義は1日130g以内です。

私は夕食を含め、1日100g以内を目指しております。

以下を、賢い糖質制限の実践のために参考にしてください。

コンビニ、スーパー

今は、コンビニやスーパーで食事を工面する場合、食品に糖質量が記載されていますから把握しやすいでしょう。

おにぎり

おにぎりは37(普通サイズ)〜50(大)gです。

納豆巻き 

納豆巻き 1本34g

カップ麺、インスタントラーメン

カップ麺は42g

インスタントラーメンは1食(100g)あたり60g

幕の内弁当

セブンイレブンは炭水化物を糖質と食物繊維に分けて表示していますが、ローソンは炭水化物の表示のみです。

ローソンの糖質表示は裏面にあります。写真では表に貼り付けています。

コンビニの幕内弁当の炭水化物は77g程度です。

低糖質食品

コンビニでは、低糖質食品が一体となって豊富に置かれてます。ゆで卵(糖質0.2g)、卵焼き(糖質7.7g)、唐揚げ(100gあたり8g)、ホッケの塩焼き(糖質1.4g)、チョリソー(1本あたり糖質1.5g)、豚しゃぶサラダ(糖質11.7g)、サラダチキン(110gあたり糖質量2.1g)、おでん(8種類の具が入っていて糖質は15g)などです。

 

以下は、ある日のコンビニで工面した私の昼食です。

ごまポン酢の豚しゃぶサラダ 糖質11.7g

だし香る手焼きの厚焼き玉子 糖質6.6g

ひきわり納豆巻き 糖質33.8g

合計 糖質 52.1gです。

やはり、納豆巻きは糖質量が多いですね。でも、この日は大豆食品を摂ることを優先しました。

外食

ラーメン、うどん、そば、パスタ、丼物、カレーライスといったものは、単品で食べることが多いと思いますが、いずれも高糖質で工夫が必要です。

もちろん、ラーメン、うどん、そばに、ライスやおにぎり、餃子、チャーハン、いも天、稲荷寿司を追加するようなダブル糖質やトリプル糖質摂取は絶対避けるべきです。

特に、その後長距離運転をする場合や集中して仕事をする場合には、反応性低血糖により、過度な睡魔に襲われ事故につながったり、仕事の効率が著しく低下します。

麺類を食べるときは、必ず具沢山にしてください。ラーメンであれば、野菜たっぷりで、チャーシューや煮卵も入れます。

パスタは和風パスタは避け、オリーブオイルたっぷりのペペロンチーノやボンゴレビアンコにしましょう。血糖の上昇を抑えられます。

丼物やカレーライスの場合は、米飯を少なくするか、米飯を豆腐に変えたもの(吉野家の牛丼ライト)にするのも良いと思います。

現実的にこれらの工夫が難しいのであれば、今回限りとし、次回の食事から再び低糖質に戻すことを強く決意してください。

吉野家の牛丼ライト

ご飯の代わりに豆腐を使用しヘルシー牛丼を実現。ゆずポン酢がかかっています。食べるとわかるこの相性!とのこと。

かけうどん、かけそばで血糖値はどの位上がるのだろうか?

第42回のブログで取り上げた、やまむら先生のYouTubeサイト『やさしい内科医のY’s TVチャンネル』で丸亀製麺の冷やしぶっかけうどん、富士そばのざるそばを食べて、それぞれ血糖値がどのくらい上がるかの実験をしておりますので紹介します。

うどんの方は、丸亀製麺のうどん弁当から天ぷらのかき揚げ、ちくわの磯辺揚げ、卵焼き、きんぴらを除き、ネギだけのかけうどんとして食べました。

1食305Kcal 炭水化物63.8g

そばの方は1食275Kcal 炭水化物54.0g

うどんもそばも血糖値は食後急上昇し50分でピークを迎え、それぞれ食前に比べ90mg/dl、100mg/dl上昇しました。

うどんやそばは、ヘルシーなイメージがありますが、いずれも小麦粉や蕎麦粉から出来ており炭水化物そのものです。

血糖値の上昇を和らげるためには、具沢山やベジファースト(野菜を先に食べる)にするのが良いと思います。

GI値で見ればうどんが85、そばが55ということでしたが、実際食べてみるとそばの血糖上昇がうどんを上まったことに驚きました。

定食屋

魚定食には、刺身、焼き魚、煮魚定食がありますが、糖質を少なくするには刺身、焼き魚定食が良いと思います。煮魚定食は、どうしても味付けに砂糖やみりんを使います。

肉定食には、焼肉定食、唐揚げ定食、肉野菜炒め定食があります。焼肉は甘だれよりも塩味が良いと思います。唐揚げの衣は気にしなくて良いでしょう。

いずれも、ご飯を減らしたり、抜くことで、物足りなければ、おひたしやサラダや豆腐のおかずを追加してください。

ファミレス

セットメニューに含まれるご飯やパンやスープには糖質を多く含むため、単品で頼みましょう。メインはステーキやハンバーグにします。ステーキは塩胡椒で食べます。ハンバーグのソースは低糖質のものを使い、デミグラスソースやホワイトソースは敬遠します。私は、メインが来る前に、たっぷりの野菜サラダやシーフードサラダを頼みます。ハンバーグにはつなぎに、小麦粉や片栗粉が使われますが糖質量としては多くありません。ステーキやハンバーグに付いてくるフライドポテトやコーンは食べません。

また、ファミレスではありませんが、「いきなりステーキ」的なお店を利用するのも良いでしょう。野菜もたっぷり食べますが、フライドポテトやコーンは食べません。

ファストフード

ハンバーガー、フライドポテト、コーラのハンバーガーセットは絶対頼みません。

頼むとすれば、ハンバーガー(糖質は30g)とブラックコーヒーです。物足りなければ、フライドチキンやチキンナゲットを追加します。

居酒屋

今は、コロナの蔓延で、居酒屋に行くことは憚れますが、実は、居酒屋のメニューを見ると、糖質の少ないものが多いことに気づきます。

タコワサ、刺身、焼き魚、唐揚げ、シーフードサラダ、卵焼き、焼き鳥(塩)、あさりの酒蒸し、枝豆、冷奴といった具合です。

締めのおにぎりやお茶漬け、麺類はやめて、ビールや日本酒といった糖質の含まれる醸造酒をほどほどにすれば良いのです。

鍋料理

寒い時期に限らず、魚介類や肉類、野菜やきのこ、豆腐といった栄養たっぷりの具材を入れて、しかも低糖質です。

でも、締めの雑炊や麺は食べません。

また、出汁を昆布や素材でとったものならば良いのですが、鍋用の市販の出汁やキムチの素には糖質が含まれますので、スープの飲み過ぎのないよう注意しましょう。

しゃぶしゃぶも良いと思います。

すき焼きの場合、割り下に砂糖が多く含まれるため、あまり好ましくありません。しかし、ラカントSを使った割り下もあるようなので活用してみてください。

自宅での低糖質メニュー

生活習慣病を克服し、健康で長生きするために、自宅で低糖質食を実現するにはどうすれば良いのでしょうか?

何も難しいことはありません。

今まで、私のブログを読んでいただいた方なら、即座に実行できると思います。

すなわち、単に糖質を制限するというわけではなく、肉や魚、卵、チーズ、大豆といった良質なタンパク質や脂肪を十分摂り、さらには葉物野菜や海藻類、きのこ類からビタミン、ミネラル、食物繊維をしっかり摂ることです。

いくつか、紹介しましょう。

鱈の酒蒸しにたっぷり野菜。しいたけ焼きに鯨の竜田揚げ。ニラの卵とじ

竜田揚げの衣やニラの卵とじの味付けの砂糖やニンジン、かまぼこに多少糖質は含まれます

鶏肉とキノコのソテーとたっぷり野菜。つぶ貝の塩茹で

豚肉のソテーにキノコとピーマン添え。ニラの卵とじ

タコの刺身、アサツキ、シソと海藻 鶏の唐揚げとキャベツ

タコは山葵醬油で食べました。アサツキは酢味噌で食べるのが美味しいようですが、酢味噌の半分が糖質なのでパスしました。

鶏の唐揚げとキャベツは(ソースや醤油など)何もかけずに食べました。

我が家のカレーライス

ご覧の通り鶏の胸肉とアスパラが入っております。

ご飯は少々。

ただ、ホタテ以外のじゃがいも(1/3個=37g)、にんじん(10g)、玉ねぎ(1/2個=100g)、カレールーにそこそこ糖質が含まれます。(ジャガイモ110gで糖質16.1g、ニンジン30gで糖質1.9g、玉ねぎ200gで糖質13.5g)

糖質量を計算してみましょう。

鶏の胸肉とアスパラとホタテの糖質は無視。

16.1×1/3+1.9×1/3+13.5×1/2+多少のご飯とカレールーの分も入れ多く見積もっても20g

小樽ダイニングから取り寄せた低糖質スープカレー250g(糖質7.7g)

鶏肉とオクラ、ぶなしめじ、ごぼう、にんじん、ブロッコリー、キャベツの6種類の野菜が入った糖質制限スープカレーです。

辛党の私にとっては辛味がもう少し欲しいところでしたが美味しいと思いました。

本来、カレーにはジャガイモ、ニンジンなどの高糖質の穀類やカレールー自体に小麦粉が含まれていることから糖質制限を行っている方には敬遠されがちですが、1食7.7gの糖質であれば許容範囲だと思われます。

魚食品

魚は刺身や塩焼きにして、自宅での低糖質メニューの中心、すなわち主食として食べてください。

また、缶詰は安価でDHAEPAといった体に必要なω3系脂肪酸を効率よく摂ることができます。これらの必須脂肪酸は缶詰の汁にたくさん含まれておりますので、捨てないで身と一緒に食べてください。

大豆食品

夕食に限らず、朝食あるいは昼食としてしっかり摂りたいですね。

冷奴や枝豆を酒の肴にするのも良いと思います。糖質ゼロビールに最高です!

 

脂肪酸摂取の注意点(第21回ブログでも取り挙げています)

必須脂肪酸

脂肪酸の中には体内で合成できないものがあり、それらは食事から摂らなければなりません。これら必須脂肪酸は図の通りですが、注意すべき点があります。

(※図は江部先生の『内臓脂肪がストンと落ちる食事術』から出典)

n-6(オメガ6)系脂肪酸はリノール酸やアラキドン酸といった油でサラダ油、コーン油、大豆油等植物性の油に多く含まれ、以前は動物性の油に比べ体に良いとされてきました。

しかし、揚げ物や加工食品からのn-6(オメガ6)系脂肪酸の摂りすぎは、動脈硬化やアレルギー性疾患をもたらすため注意が必要です。

一方、n-3(オメガ3)系脂肪酸には、調理油などに含まれるα—リノレン酸、所謂青み魚に多く含まれるEPAやDHAがあり、中性脂肪の低下や抗凝固作用があります。

順天堂大学の平澤先生によれば、日本人の魚油の摂取は1970年代からは増加傾向にあるものの、n-6(オメガ6)系脂肪酸の摂りすぎによるアンバランスで脳梗塞や心筋梗塞が増えたとのことです。

以前のブログで紹介した「ケトン食ががんを消す」の著者である古川先生が行っている免疫栄養ケトン食では、化学療法の効果を上げるため魚油からだけでは摂りきれないEPA(1日摂取量4g目標)を亜麻仁油(10%がEPAに変わる)からも摂るようにしています。

地中海食に欠かせないn-9(オメガ9)系脂肪酸であるオリーブオイルは必須脂肪酸ではありませんが、加熱しても変性せず、体重減少効果、糖尿病予防効果、脂質改善効果、心臓病や脳卒中の予防効果などが知られており、積極的に摂っていただきたい油です。

アルコールの糖質量(第53回ブログでも取り挙げています)

醸造酒には糖質が含まれ、ビールには100mlあたり3g、日本酒は1合あたり8gです。

ワインは120mlあたり2g程度です。

赤ワインにはポリフェノールが多く含まれ抗酸化作用が期待できます。

蒸留酒には糖質は含まれておりません。

糖質量とアルコール量を考慮し、節度を持って楽しみたいものです。

小腹が空いた時のナッツとチーズ

小腹が空いた時は、ミックスナッツとチーズを摂リましょう。

ミックスナッツは30粒で6g。ビタミンや食物繊維が豊富で地中海食に含まれます。ナッツは死亡率や脂質の低下をもたらし、オリーブオイルと併用すれば血管病の減少に繋がります。ナッツに含まれるビタミンB群やEは抗AGEs作用があります。

甘みが欲しければ、抗酸化作用が強いカカオ濃度70%以上のチョコレートがお勧めです。2枚で糖質4gです。

肉をたくさん食べても大丈夫?

脳心血管疾患の懸念

今でも、「肉の脂は体に悪い」という誤解があります。

肉の脂には飽和脂肪酸(バターやラード等常温で固まりやすい脂)が含まれていて、その摂り過ぎは、脳心血管疾患を増やすと信じられてきました。

ところが、2010年、アメリカの栄養学雑誌「American Journal of Clinical Nutrition」で、「飽和脂肪酸摂取と脳心血管疾患の発症率に関連がない」と発表されました。

35万人を5〜23年間追跡した「メタ解析」という手法を用いました。

また、2013年に「European Heart Journal」で8万2千人を対象とし、11年間調査した結果では、「脳卒中」の発症リスクは、飽和脂肪酸を最もたくさん摂取するグループで一番低く、飽和脂肪酸の摂取量が一番少ないグループより23%低かったとのことです。

第33回のブログで、「炭水化物、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、および総脂肪量について、それをどれだけ摂取しているかということと死亡率の関係を調べた」2017年の「LANCET」に載った「PURE STUDY」を紹介しました。

5大陸18か国、13万5千人を対象とした10年間の調査で、結果は「人種を問わず、人間にとって炭水化物の摂り過ぎは命を縮め、脂肪を摂ることで長生きする」というものでした。

肉に含まれているのは飽和脂肪酸だけではありません。半分は一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸です。オレイン酸はオリーブオイルの主成分であり、体重減少、糖尿病、脳卒中、心臓病の予防効果が報告されています。

大腸がんの懸念

糖質制限をするとその分、たんぱく質と脂質摂取量が増えることになり、特に「肉を食べ過ぎると大腸がんになる」と言われます。

2011年国立がん研究センターが発表した研究では「赤肉」(赤肉とは鶏肉以外の肉)の摂取が1日80g以上では、女性の大腸がんのリスクが上がり、「加工肉」を含めた肉類全体の摂取量が1日100g以上では、男性の大腸がんのリスクが高くなると報告されました。

また、WHO(世界保健機関)の専門組織である国際がん研究機関から、「加工肉摂取には大腸がんのリスクがあり、毎日50g摂取するごとに18%リスクが増えるという報告がなされました。

高雄病院の江部先生は、「塩分が多く化学防腐剤が入った加工肉を避けるのは賛成だが、糖質制限をしていれば、赤肉の摂取についてそれほど神経質に制限しなくても良い」と述べています。

どうしても気になるようであれば、1日当たりの赤肉を100g以内に抑え、あとは鶏肉や魚介類、大豆からたんぱく質と脂質を摂れば良いのです。

糖質とがんの発症

がんには「生活習慣病型」と「感染症型」があります。

生活習慣病型のがんは食生活や喫煙、飲酒によってもたらされるもので、肺がん、大腸がん、乳がん、膵臓がん、腎臓がん、食道がん、子宮体がん、胆嚢がんがあります。

感染症型のがんは細菌やウイルスの感染によるもので、ヘリコバクター・ピロリ菌が関わる胃がん、B型、C型肝炎ウイルスによる肝臓がん、ヒトパピローマウイルスによる子宮頸がんがあります。

がんの発症は複雑ですが、根本的な原因は酸化ストレスにより正常な細胞の遺伝子が傷つき、ミスコピーを誘発して起こると言われています。

酸化ストレスは食後高血糖やそれに伴うインスリンスパイクによって起こります。

国際糖尿病連合は、「食後高血糖は発がんに関与している」と結論付けておりますし、2006年、日本の国立がん研究センターでは「糖尿病があると、健常人に比べてすべてのがんのリスクが20〜30%高くなる」と発表しております。

がんのエネルギー源はブドウ糖であり、血糖値上昇により分泌されたインスリンは正常細胞とともにがんの成長因子として働き、高血糖が持続することによる糖化反応によって出来たAGEsはがんの転移に関わると言われます。

糖質制限食の意義

以上、当院で行っている糖質制限食について述べてきました。

糖質制限食は糖尿病をはじめとした生活習慣病を克服するための基本になりますが、何も特別な食事療法ではありません。

狩猟、漁労、採集生活を送っていた遠い私たちの先祖の食事内容に戻るだけなのです。

ところが、ある時、私たちの先祖は米や小麦といった穀物に出会い、大量栽培することに成功しました。

それによって定住化が進み、人口が増え、大脳の発達とともに文明を生み出したのは事実です。

私たちは穀物を大量栽培し、食糧を思うままに支配してきたつもりでしたが、実は、穀物は糖質を武器に、ヒトを糖質の罠にはめ、ヒトを支配してきたのです。

私たちの生きる時代はまさに飽食の時代です。

飽食の主体をなすものは糖質であり私たちを糖質中毒に貶めました。

本来、私たちに組み込まれたDNAにそぐわない糖質を過剰に摂ることによって予備軍を含めた糖尿病患者は今や中高年の4〜5人に1人と言われており、高血圧症や脂質異常症、脂肪肝を含めるとその頻度が格段に上がることは想像に難くないでしょう。

糖尿病をはじめとした生活習慣病は、老化を早め病を起こし今や生活習慣病関連疾患の医療費は莫大なものになっています。

血糖値を高めるのは明らかに糖質であるにもかかわらず日本糖尿病学会は糖質制限を長期的な食事療法として遵守性や安全性が担保されないとして否定しております。

糖質過剰摂取を続けることで膵臓が疲弊し糖質を摂ったことにより高血糖から逆に反応性低血糖を引き起こし私たちのパフォーマンスを損ねているとしたら由々しき問題です。

今や私たちは節度と勇気を持ってモルヒネにも似たこの難敵、糖質に立ち向かわねばなりません。

その術が、糖質制限食なのです!

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