第35回 grain free food(穀物不使用食餌)と動物の血糖値

grain free food(穀物不使用食餌)

 我が家には、18年連れ添った老犬のミニチュワダックスがおります。糖質制限信奉者である私にすれば、この愛犬の食事についても気になります。

最近、grain free food(穀物不使用食餌)のテレビCMを目にするようになったので少し調べてみました。

ペットフードにおいて穀物とは主に「イネ科穀物」

ペットフードにおいて穀物とは主に「イネ科穀物」を言うそうです。具体的には、米や大麦、小麦、トウモロコシのことです。

ドライフードによく使われるのが小麦とトウモロコシなのですが、grain free food(穀物不使用食餌)と言っても、全く穀物を含んでいないということではなく「イネ科穀物」を「他の穀物・穀類に置き換えたフード」のことです。

すなわち、サツマイモやジャガイモといったイモ類、エンドウ豆といったマメ類に置き換えられたものを言うのです。

 grain free food代替への必要性

ヒトや犬はもともと肉食動物であり、炭水化物の消化が苦手で、犬は70%が小麦アレルギー(乳製品にも)を起こします。小麦をイモ類やマメ類に変えるのは、食物アレルギーの低減や排除のためです。

 イモ類やマメ類は「イネ科穀物」の米や小麦、トウモロコシに比べて、等質量あたりの糖質含量は半分以下で、GI(glycemic Index 血糖値上昇の目安)値も低いので、肥満や糖尿病予防に有利です。

 犬の糖尿病診断と治療

糖尿病は、犬もヒトと同じように加齢により増加する疾患で、多飲、多尿、脱水といった症状があり、血糖値が200mg/dl以上であれば糖尿病と診断されます。

糖尿病の対応としては食事療法が大切で、これについて日本獣医生命科学大学の左向敏紀教授は次の点を提示されています(2001年)。

1.目標体重と適切なエネルギー量を設定する
BCS(ボディコンディションスコア)の活用

2.フードの量と与え方に注意する
1日の給与量を3~4回に分けて与える
給与時間を規則正しくする

3.食後の高血糖を招きにくいフードを選ぶ

糖質の制限
低GI食材の応用

日本糖尿病学会が推奨する「食品交換表」を用いる高糖質、低カロリー食事療法に比べ、とても理にかなっていると思いませんか?

動物の血糖値

次に、夏井睦先生の著書「炭水化物が人類を滅ぼす」に大変興味深い記事が載っているので紹介したいと思います。

図6は、動物の専門雑誌に掲載されていた、様々な動物の平均血糖値をまとめたものです。

そして、図7は、日本国内のペットや家畜から得られた値をまとめたものです。

 

図6を見ると、オオツノヒツジや齧歯類のチンチラ、キタオットセイのように、血糖値が160mg/dl以上の動物や、フタユビナマケモノのように極端に低い血糖値の動物もおりますが、それ以外は、概ね人間の正常血糖値(70〜110mg/dl)の範囲内に収まっております。

これは図7でも同じで、ほとんどの動物の血糖値は、おおよそ人間の血糖正常値の範囲内に収まっていることがわかります。

多くの哺乳類は、肉食・草食・雑食の区別なく、100mg/dl前後の血糖値で生きているようであり、先生は、偶然の一致にしては出来過ぎだと考えているようです。

図8は、鳥類と爬虫類の血糖値です。鳥類は人類の基準からするとかなり高血糖状態であり、ヘビやカメは一般に正常血糖値が低い。つまり、フタユビナマケモノの血糖値はヘビの血糖値に近いのです。

先生の大胆な予想では、陸棲の脊椎動物は、血糖値によって、30mg/dl前後の群(ヘビ、カメ、ナマケモノ)、100mg/dlの中間群(ほとんどの哺乳類とトカゲ)、300mg/dlの高値群(鳥類)に分かれます。

そして、この3つの動物群は「ほとんど動かない動物」「活発に動く動物」「飛行する動物」に対応しております。

つまり、「ほとんど動かない」生活を選べば、血糖値は30mg/dl程度で十分、「活発に動く」生活をするなら100mg/dlの血糖値が必要、「飛行」するなら300mg/dl以上の血糖値が必要、ということでまとめられるというのです。

つまり、各血糖値がそれぞれの行動様式に関連しているのです。

 

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