鉄不足が糖質依存になる理由
人体の効率の良いエネルギー産生は、細胞内のミトコンドリアで行われます。
ミトコンドリアは1つの細胞に数百から数千あると言われ、人体の発電所たるミトコンドリアは、酸素を使って効率よく糖質や脂肪、タンパク質をエネルギーに変換しております。
しかし、このエネルギー代謝が行われるためには、ビタミン(ビタミンB3、C、E)、ミネラル(亜鉛、マグネシウム)が必要で、中でも重要なのが鉄なのです。
もし、鉄が不足すると、図にあるように、ミトコンドリア内で回るTCA回路が働かなくなり、エネルギー不足に陥ります。
(図は宗田先生の著書「ケトン体」こそ人類史上、最強の薬である 病気にならない体へ変わる 正しい糖質制限からお借りしました。)
そうすると、やむを得ず非効率的な解糖系に頼るしかありません。これは酸素を使わず細胞質で行われます。
ブドウ糖1分子が解糖系からピルビン酸を経てTCA回路に入ると合計38個のATP(エネルギー)が作られますが、解糖系だけだとたった2個しか作られません。
しかも、体を酸性化し体温を下げてしまいます。
そして、解糖系の材料になるのは、糖質のみなので、エネルギー産生のため、ひたすら糖質を欲するのです。
鉄不足を知るには
鉄欠乏になっているかどうかは、血清鉄とフェリチンを調べます。
血清鉄は血液中に存在する鉄、フェリチンは貯蔵鉄です。
しかし、炎症性の病気や肝障害があってもフェリチンが上昇することがありますので注意が必要です。
TIBC(鉄を運ぶたんぱく質)が上昇していれば、たとえ炎症性の病気があってフェリチンが充足しているようにみえても、鉄不足があると考えます。
フェリチンの正常値は、女性で5〜157ng/mlとされますが、実際は100ng/ml以上必要です。
産後鬱の原因は鉄不足
産婦人科の宗田先生によれば、産後鬱の原因は、鉄不足といいます。鉄不足は脳へのエネルー供給不足をもたらし、セロトニンやドーパミンなどの脳内神経伝達物質の合成に支障をきたすことで鬱を発症させるのです。
糖尿病がよくならない時は鉄不足を考える
糖尿病の患者さんに、糖質制限の栄養指導をしても、なかなかうまくいかない場合は、鉄不足を考える必要があります。
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