糖尿病の合併症を引き起こす真犯人はインスリン?
水野雅登先生の著書「薬に頼らず血糖値を下げる方法」には、高血糖よりもインスリンの方がはるかに体に良くない影響を及ぼしていると論じています。
「肥満」「認知症」「がん」は高インスリンがもたらす合併症であり、糖尿病性腎症と糖尿病性網膜症も然りだと言うのです。
以下水野先生の本から引用です。
2つの場合を考えてみましょう。
1.血糖値は低めだが、インスリンが多い状態
この場合は2つの原因があり、
- インスリン分泌の能力が保たれている場合と
- 体外からインスリン注射を多めに打っている場合です。
これらの場合、インスリンが体内にたくさんある状態ですから、肥満、認知症、がん、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症のリスクを高めます。
ある日、某大学病院でインスリン分泌を促す薬を服用していた患者さんが水野先生のところに移ってきたそうです。
来院時、日本糖尿病学会の「合併症予防のための目標」の数値HA1c7.0%未満をおおむね達成しておりましたが、下図のように眼底出血を起こしておりました。
2.血糖値は高めだが、インスリンが少ない状態
水野先生は高血糖よりも、高インスリンが合併症を起こしたと考え、低インスリン状態になるよう投薬を変更しました。
当然、血糖値は上がりましたが、驚くことに、それによって眼底出血は消失してしまったのです。
以前、水野先生は「低インスリン状態でも、高血糖で合併症が起こる」と考えておりました。
しかし、その後、先生は糖質制限食の効果を実感し、さらに「インスリン・オフ療法」を推し進めると合併症が出ないことがわかったとのことです。
インスリン・オフに寄与する薬物療法
「インスリン・オフ療法」の基本は「糖質制限」ですが、以下に、インスリン・オフに寄与する薬物を挙げておきます。
1.メトホルミン
糖新生抑制、小腸からの糖質吸収の抑制、インスリン抵抗性の改善
副作用)64%に副作用 乳酸アシドーシス、食欲不振、下痢
2.α-グルコシダーゼ阻害剤
小腸からの糖質の吸収を遅らせ血糖値の上昇をゆっくり
副作用)膨満感、下痢、便秘
3.ピオグリタゾン
インスリン抵抗性の改善、糖新生の抑制、末梢での糖利用を高める
副作用)肝障害、女性に浮腫、海外で膀胱癌の報告
4.SGLT2阻害剤
近位尿細管での糖の再吸収を阻害
結局、糖尿病の治療目標は「血糖値を低く保つこと」ではなく「低インスリン状態を保つ」ことなのでしょうか?
そうだとすれば、低インスリン状態を保つために許される血糖値変動の許容範囲はいくらまでなのかをはっきりさせなければなりません!
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