第9回 ケトン体質になるとGOT、GPT、尿酸値、総ビリルビンが上昇?

一般に私たち内科医はGOT、GPTが上昇していると肝機能障害を考えますが、ケトン体質になることによっても上昇することが白澤卓二先生の一卵性双生児の実験で示されています。

糖質制限食にココナッツオイルを与えられた兄(弟は今まで通りの食事)のGOT、GPTが上昇したというのです。

先生は【γGTが上昇していないので脂肪肝のような炎症が起こっているのではなく、内臓脂肪や皮下脂肪の中性脂肪がどんどん分解してケトン体を作り、この分解した脂肪の一部が一時的に肝臓に溜められているのがその理由】と考えているようです。

長距離を飛ぶ渡り鳥は、飛び立つ前に肝臓に脂肪を溜め込みます。おそらく、先生の仮説は正しいのでしょう。また、兄の方では尿酸値と総ビリルビン値の上昇も認めました。

実は、血液中の成分で、活性酸素を無害化する抗酸化物質はこの尿酸とビリルビンで、特に尿酸は血液中でもっとも作用の強い抗酸化物質で血液中の抗酸化力の半分以上をつかさどっているそうです。ケトン体が作られる時、何らかのメカニズムで抗酸化力を上げているのでしょう。

私たち内科医は、GOTやGPT、尿酸や総ビリルビンの上昇を見た時、安易にアルコールや果物の過剰摂取によるものと決めつけるのではなく、慎重に患者さんの食生活を聞き出す必要があります。もしかしたら、その患者さんは糖質制限しているかもしれません。

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